「たまりせんべい」は、もともとはどんな米もおいしく有効利用したいという先人の知恵から生まれ、各戸で作られたものでした。それがいつしか腕自慢の名人が焼くようになり、一時は塩川・喜多方だけでも約100軒もせんべい屋がありました。屋根の上に天日干しされた生地が、白く反射するのがこの地方の風物詩でした。
会津平のおいしいお米と、山麓の豊かな伏流水に恵まれ、湿度温度を一定に保つ「蔵」で育まれた醤油や味噌が「たまりせんべい」の香ばしい薫りのいのちです。 冬でも扇風機が手放せない作業場では、職人が炭火手焼きにこだわって、一枚一枚を丹念に焼き上げます。レンガ窯の炭火は、赤々とせんべいを内側から熱し、風味を逃がしません。